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経営改善コラム

  

   住宅不動産業界のトップコンサルタントとして、様々な視点で業界の問題点を斬り、

   『業界のあるべき姿』を現場の立場で語っていけるようなコラムです。

 

「『不況』になると『親子近居』が増加する理由」(2010/03/03)
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▼はじめに

こんにちは。

大手ハウスメーカー8社の第3四半期(09年10月〜12月)の決算が出ていました。
いずれも大幅な減収が続いており、前年対比2ケタ減と発表されていました。

結果をこのまま受け止めてしまいますと、
まだまだ先行きは明るくないように感じてしまいます。

が、「売上」の先行指標である「受注」の結果で見ていきますと、
同期間において、数字を公表している7社のうち、
5社が前年対比プラスに転じ、うち、3社が2ケタ増とあり、
「底打ち感」が出てきていると発表されていました。

実際に、我々のクライアントにおいても、
「集客数が増えてきている」「単月過去最高業績」といった
言葉もよくよく話題に上がってきております。

どうやら、暗くて長いトンネルを走っていた住宅業界において、
ようやく明るい日差しが差してきたのでしょうか。

先般の「住宅事業フォーラム」でもお伝えさせて頂きましたが、
2010年は国策のバックアップもあり、
どうやら2009年と比較すると、少しだけ追い風が吹きそうです。

ですから、2010年は2009年の落ち込み分もまとめて、
1件でも多くの受注を確実なものとすることに専念していくことが
必要となるでしょう。

そのための短期的な対策については、
佐藤や加藤のコラムに譲るとして、

このコラムでは、その先の未来や、
もっと根っこの課題について、
言及して参りたいと思います。


 

「不景気だから安い住宅」とは限らない

さて、住宅市況が底打ちといっても、
当たり前のことですが、お客様の購買力が回復したわけではありません。

確かに、日銀短観でも、日経BIで判断する限りでは、
景気は底からは脱したようにも見えますが、
まだまだ予断を許さないような状況です。



 

消費者物価指数も同様に、未だに低迷しています。


 

「景気が悪くなる」→「年収が下がる」→「物価が下がる」
という自然なサイクルが、お客様の消費行動を慎重にさせます。

消費者は、年収減にも怯むことなく、
インターネットを駆使して、商品選定は、益々厳しくなります。

結果として、企業はシビアな競争にさらされ、
価格競争力のない企業は市場から撤退を命じられます。
先日の“さくらや閉店”のニュースは、その典型的な事例でしょう。

では、「安ければ売れるのか」というと、そんなことはありません。

消費者の購買行動はどんどん賢くなっていますから、

・「安かろう悪かろう」は買わない。
・「安くて普通」は当たり前。
・「高くていいもの」も当たり前。
・「安くていいもの」でなければ買わない。

というのが今のトレンドでしょう。

では、住宅購入においてはどうでしょう?

「住宅展示場協議会アンケート」によると、



 【住宅展示場協議会「不況下の住宅計画と住宅施策を検討」2009年より作成】

 

「収入減少」や「将来の生活に不安を感じている」人の割合が
全体の7割以上を占めているにも関わらず、

だからといって、
「すべてに満足よりも安く家を建てたい」という質問に対し、
「はい」と答えた割合は29%に留まり、

「不況だからこそ優良住宅を建てたい」
という本物志向の表れがはっきりと見てとれます。

つまり、「満足さ」と「安さ」はトレードオフの関係ではなく、
両立しなければ、住宅購入に結びつかないということのようです。


 

▼不況でも優良住宅を建てるためには?

ここで一つの問題提起がされるわけです。

「年収が下がっている中で、満足度を下げずに、
  どのように住宅を購入するのでしょう?」

@ 住宅会社に値下げを要求する
A ローコスト(高品質)住宅を選ぶ
B 建築面積を下げる(狭い住宅を建てる)
C 良質な中古住宅やリフォームに流れる

等々の工夫が考えられます。
実際にその兆しは少しづつ起きています。

が、実際は、まだ「平均住宅購入価格」は
そこまで下がっていないのです。

つまり、「自分の身の丈に合った住宅購入をする」
と割り切って、家選びをしている人は、
まだ多数派ではないということです。

4大都市圏の平均顧客像データを見ると、
その傾向が浮かび上がってきます、



                           【出展:住宅生産団体連合会 『平成21年度 第4回 住宅業況調査報告』】

 

 

まず、2005年度と2008年度で比較しますと、

「世帯主年齢は下がっています(購買力は落ちています)」
にもかかわらず。

@ 住宅購入価格は下がっていません
A 世帯年収も下がっていません
B 贈与税が増えています
C 借入金が増えています

つまりはこういうことですね。
「自分の年収減に合わせて、住宅を我慢する」のではなく

@ 妻に頑張ってもらう
A 親に頑張ってもらう
B 銀行に頑張ってもらう

というのが、今の実情のようです。

 

 

▼「不況」が「親子近居」をもたらす理由

「民間給与実態統計調査」によると、
サラリーマンの平均年収は、この10年間で約40万円減少しています。
一方で「共働き比率」は伸び続けています。


                        【出展:住宅生産団体連合会 『平成21年度 第4回 住宅業況調査報告』】

 

そうして、「世帯年収」を維持して、
さらに「親に援助してもらう」ということでしょう。

では、「共働き夫婦(家族)」が、
新しい家族のあり方になってくると、
どのようなことを考えなければならないのでしょうか?

もちろん、「共働き夫婦(家族)向け」
の提案は重要になってくると思います。

が、それ以上に大きな変化として起きてくるのが、
「親子の物理的距離感」が近づくということです。

共働きを続けるためには、
子供の面倒を見てくれる親御さんの存在が
不可欠になるんですね。

結果として、「不況」は、「親との近居」をもたらします。

実際、最近のデータにおいて、

親世帯・子世帯のいずれも、
「親子近居への興味」は、「80%以上」という結果が出ています。



                    【住宅展示場協議会「不況下の住宅計画と住宅施策を検討」2009年より作成】

 

今後しばらくは、「適度な親子の距離感」を保って、
近隣エリアに「小家族集団」が集合(連帯)していく
ファミリースタイルが、一つの傾向として続いていきそうです。

さらに付け加えるのならば、
「世帯年収」が今後、さらに大きく落ち込んでいくと、
今度は「二世帯同居」のファミリースタイルになっていくのでしょう。

ですから、「親御さんも交えての家族ミーティングの場」は、
特に重要になっていますし、営業マンが家族の関係性を
うまく取りまとめていくことが、必要になっていくでしょう。

結果として、親御さんの資金援助も引き出せるかも知れませんね。



▼終わりに

いかがでしたか?

本日は、

「“年収減”が“夫婦共働き率”を伸ばし、
   結果的に、“親子近居”傾向をもたらす」

というメカニズムをデータを活用しながら、
話を進めて参りました。

「年収減」と聞くと、

「コンパクトハウス?」「ローコスト?」
「リフォーム?」「中古?」

というのが、よくよく話題に上ります。

確かに、そういうことも考えられますが、
そのように一元的に捉えて、戦略立案をしていくことの
アンチテーゼとして、コラムを記載しました。

先の見えづらい業界だからこそ、
様々な視点で事実を切り取って、それらを闘わせながら、
未来を切り拓いていきたいですね。

では、今日のコラムはこのへんで。
次回も是非、お楽しみに。

 

 

過去のコラムはこちらから

 コラムを始めました(2009/10/5)

 すでに起こった未来を確認する(2009/10/19)

 すでに起こった未来を確認するA(2009/10/23)

 すでに起こった未来を確認するB(2009/11/01)

 すでに起こった未来を確認するC(2009/11/15)

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