「住宅業界を斬る」LCAトップコンサルタント 権田 和士
住宅不動産業界のトップコンサルタントとして、様々な視点で業界の問題点を斬り、
『業界のあるべき姿』を現場の立場で語っていけるようなコラムです。
Ipadは、正しい付加価値競争をもたらすか?
2010年9月 2日 18:01
▼はじめに
久々の更新となってしまいました...申し訳ございません。
今後は毎月第一木曜日に更新して参りますので、
ぜひご期待いただければと思います。
ちなみに、今後の住宅事業部におけるコラム更新は、
以下の通りに進めることとなりました。
第一木曜日・・・コラム「住宅業界を斬る」
第二木曜日・・・コラム「住宅営業道」
第三木曜日・・・コラム「住宅ストック事業の最前線」
第四木曜日・・・コラム「マンション営業 虎の巻」
今後とも、当コラムをはじめ、住宅事業部のコラムをご愛顧下さい。
さて、私たち日本LCA住宅事業部では、iPadを購入しました。
クライアントの皆さまにご愛用いただいている営業ツール類も、
今後はどんどんiPadバージョンで作成し、一層ご活用いただこうと
考えています。
今回はそんな、iPadにも関係する話です。
▼iPad、キンドルに見る流通革命
インターネットの登場に端を発した情報革命は、
いよいよ流通にまでその影響を及ぼし、
さまざまなところで「中抜き」と呼ばれる現象を起こしています。
インターネットを介して生産者と消費者が直接結びつくことによって、
これまでその両者の中に入って流通を担っていた卸売や代理店など、
いわゆるディストリビューターが骨抜きとなってしまったのです。
商品をただ右から左へと流すだけの機能はもはや必要がなくなり、
流通に何かしらの付加価値をつけることのできないディストリビューターは、
今後も次々と淘汰されていくでしょう。
特に情報を商品とする業界では、この状況は顕著です。
iPodや携帯電話などの機能の発達により、
消費者が音楽データを直接購入できるようになったことで、
CD販売ショップなどの卸・小売に当たる企業が打撃を受けただけではなく、
これまで生産者側であったCD製造会社までもが、
その存在価値を急速に落としていきました。
今後、iPadやキンドルといった商品の普及が進めば、
出版の世界でも同様のことが起こっていくでしょう。
作家(情報の発信者)と読者(消費者)が直接結びつくことによって、
卸売や書店だけではなく、出版社までもが、
その存在意義を問われることになっていくのです。
このように、今まで「それが当たり前」と思っていた流通構造は、
これからの10年間でダイナミックな変化を遂げていくことになるのではないでしょうか。
▼住宅業界における流通革命
住宅業界においても、流通革命は着々と進んでいます。
たとえば、住宅展示場と営業マンを省くという点で
「住宅事業の中抜き」の事例とも言えるエス・バイ・エルの「ネットdeすまい」は、
この9年間で2500棟の販売実績を上げています。
また、ミサワホームでは「HABITA TV」というネットチャンネルを開設するなど、
既存のメディアに住宅情報を流すのではなく、住宅会社自身がメディアを持つ時代になっています。
リフォーム市場においては、「ホームプロ」というサイトが
ユニークなビジネスモデルを展開しています。
このサイトでは、消費者(施主)がネット上に依頼を投げ、
ネットオークション形式で施工業者の選定を行っているのです。
これまでの「B to C」(Business to Consumer=企業から消費者へ)の流れに
逆行する、「C to B」という新しい流通形態と言えるでしょう。
こうした流通構造の変化の中で、住宅不動産業界の中でも最たる流通業者である
不動産仲介業は、今まさにその存在意義を問われています。
従来の「B to C」から、先の事例の「C to B」を通り越し、現在では「C to C」、
つまり消費者同士の直接取引のビジネスモデルができあがりつつあるのです。
こうした動きはアメリカで一足早く進んでいますが、日本でも「C to C不動産」という
会社が出てくるなど、確実に「中抜き」が進もうとしています。
不動産仲介業はそもそも付加価値をつけづらい事業ではありますが、
今後はこうした流通再編の動きの中で、付加価値ビジネスへの転換が
求められていくことでしょう。
▼「フローからストックへ」という言葉の奥にあるもの
既にご存知の通り、新設住宅着工数は2009年に80万戸を切り、
2010年も上半期を終えて38万戸と、シビアな状況下にあります。
こうした中、「フローからストックへ」というキーワードの元、
「住宅を建てる」事業から「住宅を流通する」事業へと、
ビジネスモデルを変える企業も多く出てきています。
実際に、2009年度における新築着工:中古流通は既に55%:45%と、
新築に迫る勢いであり、これからの住宅事業を考える上では避けては通れない問題です。
日本LCAもリノベーション推進協議会の中核団体6社(R5)に選ばれ、
まさに今後の住宅業界における「新しい流通のあり方」を
最前線で検討する立場にあります。
向こう5年間で、新しいビジネスリーダーが少しずつその頭角を現してくることになるでしょう。
そして一方で、その存在価値を急速に失って、
淘汰されていくビジネスモデルも出てくることと思います。
この二者を分けるキーワードは、「本当の意味での価値創造(付加価値)」
まずは、自社がどのような価値を提供しているのか、
しっかりと見つめ直すところから始めてみてはいかがでしょうか。






